施設長コマツです。
私、もう一つの顔があって(笑)、近隣の子どもたちの母校のあざみ野第二小学校で「学校地域コーディネーター」ということを、ボランティアでやってます。
地域と学校との架け橋となる、と言われてもよくわからないと思うのですが、地域の方を学校の授業に連れてきて、学びを学校だけではない、より良いものにするお手伝いなどをしています。WITHとは違う小学生との付き合いは、これまた楽しくて。
で、ここ数年私が大好きな授業に、「赤ちゃんふれあい授業」がありました。が、コロナ禍でなかなか交流が難しく、今年度は久しぶりに「生のあかちゃん」を連れて、小学校で授業をやってきましたよ。WITHからは8組もの親子さんが参加してくれました!その他、6年生の担任の先生のお子さんと奥様、おともだち、小学校の保護者と下のお子さんなど総勢13組が参加してくださいました。体育館、寒くて本当に申し訳なかったのですが、小学生が入ってきたら、活気づいて楽しさいっぱいの授業となりました。

児童たちは、事前学習として前の週にクラスごとに赤ちゃん妊婦体験をしていました。重りを入れて、腰などにバンドを巻き付ける妊婦ベストのようなものを、着用しました。「へっちゃらー」「意外と頑張れる」という男子たち(笑)には、無常にもあと3キロ重り追加!そして、寝転んでもらったり、そこから立ち上がったり、洗濯物を干す動作をしたり。妊娠後期はずっとこんな感じで、まあ3か月近くは日々重くなるんだよ!と想像してもらいました。
今年初の試みとして、ベビーカー体験も。ベビーカーに重りを載せて、その上に人形を置き、段差を動かしてみる。また、階段を持ち上げて通過するのも体験。児童たちはこちらの方が大変だったようです。
5年生は持ってこれなかったのですが、6年生の日は沐浴体験等に使う赤ちゃん人形を借りて来て、首の座らなさや新生児の重さなども体験。時間があったので、抱っこの練習(首を支えて・・・)などもしてみました。
事前学習の時に、WITHのニュースを配り、読んでもらいました。そして、赤ちゃんを育てる親のためにこんな施設があって、今そういうところが増えているんだよ、それはなぜだと思う?と宿題も出してみました。
さて、そんな事前学習から数日後、いよいよ赤ちゃんが学校へ!
体育館で学年ごとに1時間ずつの、ふれあい授業です。

そう、小学生も高学年となると、弟妹も小学生や幼稚園児だったり、とあまり赤ちゃんにふれあう機会もありません。もちろん、下に1歳の子がいたり、いとこが小さい児童もいますが、月齢が様々な赤ちゃんが並ぶことってそうそうないですよね。それもまた楽しい授業の始まりです。
まず、ママたちの自己紹介。月齢あてクイズをやるので、月齢年齢は言わずに名前と性別だけを言ってもらいました。
次は、クイズタイム。
親子三組を前に並んでもらって、月齢を当てます。
3ヵ月でも大きいし、8か月でも小さいし、「歩ける?」「座れる?」成長の過程も小学生にはそこまでわかりません。
案の定、なかなか当たらない(笑)。7か月!を当てたクラスもありましたが、みんなびっくりするような外れっぷり。
次は体重当て。これまた当たらない!
1歳近い赤ちゃんが5キロとか、ないですよね(笑)。でも、自分の体重の増加を考えると、0→1歳でこんなに増えるなんて!?と児童はびっくりしていました。
最後に、Mさんにお願いして、前日のおむつを替えた回数を当ててもらいました。
MさんちのSちゃんは3か月。まだまだ頻回のおむつ替えの月齢です。
これは1クラスビンゴがいましたね。でも、うわー少なくて8回かあ~とため息がもれていました。

交流タイムはクラスを3チームに分け、そこに赤ちゃん親子が入って、抱っこしたり、ほっぺたを触ったり、ママに質問したり。あざ二小の保護者ボランティアチームに、サポートしてもらいました。質問よりも、とにかく触ったり抱っこしたり、という感じでした。人見知りが一番大変な時期に来てくれた9か月の女の子は、本当に頑張って(笑)泣いていたけれど、それもまたママが「さあ、電車やバスなどで泣いちゃったときにこの子を泣き止ませるにはどうしているでしょうか?」とクイズ。「抱っこしても泣いちゃうんだよ」「ママでもダメなんだよ」「そっか、お菓子!」そうそう、お菓子だよね~と赤ちゃんせんべいを食べても、また泣いてました(笑)。ほんとに、たくさんのお兄ちゃんお姉ちゃんの前でびっくりしたよね。ごめんねー!と思いました。
最年少2ヵ月半のAちゃんは、まだふわふわな赤ちゃん。抱っこしていいよーとママが言っても、「こわいこわい」「落としたら大変」と怖気づいてしまう児童もいました。でも、それも正直な感想。壊れそうな赤ちゃんを抱っこする経験なんて、今までなかったですからね。
3ヵ月のSちゃんは、赤い服を着ていて、校長先生の赤ジャージとペアルックみたいでしたね。抱っこした校長先生はいつもより増してにこにこ笑顔でしたよ。
育休中のパパIさんも、子どもたちの質問にたくさん答えてくれました。今回初の育休父さんの登場に、保護者ボランティアも感慨深い顔をしていましたよ。今ここにいる君たちの時代は、産後休暇と育児休暇が当たり前でしょう。仕事も長時間労働が当たり前でなくなり、父母が一緒に子育てしていける世の中でありますように、と思わずにはいられませんでした。
あっという間に時間は過ぎ、児童と赤ちゃんたちがさようなら。名残惜しそうに退室した児童たちでした。
後日、参加したママから、いろいろとお話しを聞きました。
〇卒業した小学校にわが子と来て、赤ちゃんふれあい授業をするなんて、思っても見なかったので、感激しました。子どもたちはいかにわが子を笑わせるか!と懸命でしたが、赤ちゃんのリアルを肌で感じることが出来る機会が小学生のうちにあるなんて、うらやましいなと思いました。
〇かわいいと言ってもらえて、本当に嬉しかったです。
〇今回の授業の体験で、赤ちゃん親子に今はお手伝いが出来なくても、もう少し大きくなったら、行動に移せたらいいなあと思いました。
〇小松さんの想いがみんなに伝わった素敵な授業でした。貴重な体験をさせていただきました。
そして、子どもたち全員から、授業の感想が来ました。どれもいいことが書いてあったのですが、嬉しかったものを抜粋します。
〇お母さんたちの大変さがわかり、みかけたら手伝ってあげたいと思いました。
〇弟妹がいないので、赤ちゃんと触れ合う機会がなく、とても嬉しかった。ほっぺがぷにぷにしていて、小さくてとてもかわいかった。
〇抱っこして子どもがゆったりしてくれたとき、ものすごく嬉しかった。
〇子育てをするお母さんお父さんはとても大変なことを知った。でも、そのつらさ以上に赤ちゃんがかわいいので、子育てのつらさも大丈夫なんだってぼくは思った。
〇(事前学習で)赤ちゃんのお世話が思ったより大変だとわかった。赤ちゃんは重くて泣いてうるさかったりして、子育てはとても大変だなあと感じました。でも、赤ちゃんはとてもかわいくてむじゃきでいやされました。また会いたいです。将来が楽しみです。
〇赤ちゃんとの交流、死ぬほど楽しかったです!思ったことはお母さんたちがすごく努力して僕たちを育ててくれているんだなあって思いました。親じゃないけどめちゃめちゃ成長が楽しみです。
〇僕はもともと将来妻が妊娠したら家事をやり、産んでもらってからは子どもの世話を積極的に自分がやろうと決めていましたが、予想以上に妊婦の母親や子育てが大変なことだと感じました。
〇将来子どもが生まれたときに、この経験を活かしたいです。
〇緊張したけれど、楽しさでいっぱいになりました。ありがとうございました。
〇下に弟妹がいるけれど、初めて色々な時期の赤ちゃんを同時に見ました。
〇もともと赤ちゃんは大好きだったけれど、もっと関わりたくなりました。
〇赤ちゃんは苦手でしたが、今回の授業で好きになりました。
〇赤ちゃんはものすごくかわいい。ぼくは弟側だから、初めてこういう体験が出来て良いと思いました。
〇前に妊婦さんに席を譲ったことがあるけれど、妊婦体験でここまで重いなら譲って良かったと思いました。赤ちゃんはかわいかったから産みたいと思いました。
〇夜赤ちゃんのために何度も起きるのはつらいなーと思いました。でも赤ちゃんのためにやるのはすごいと思いました。
〇赤ちゃんに元気をもらえたような気がした。
〇お母さんたちは、赤ちゃんを一番最初に考えているのがすごいと思いました。
最後に、私から話をしました。
ヒトは哺乳類の中でも一番未熟で生まれてきます。それを「群れ」で育ててきました。でも、最近は「核家族」になってしまい、お母さんお父さんだけで子育てをしていて、さらにお父さんが忙しいとお母さんの負担も増えますね。
さて、なぜ子育て広場が増えているんでしょうか?
6年生の男の子が素敵な答えを出してくれました。「安心して子育てができるため」
そう、だから子育てひろばなどが増えてきているんです。群れ、真似で子育て出来るように。
お母さんお父さんが不安をなくすために。
だから、君たちが出来ること、少しでいいから勇気を出して、声をかけて下さい。
小さい子とそのママ・パパに「かわいいですね、何か月ですか?」と。
そして、公園なら、一緒に遊んでください。
階段なら、荷物を持ってあげてくださいね。
もうすぐ、あざみ野第二小学校から、優しい子どもたちが巣立っていきます。今年の卒業生にこの授業が間に合ってよかったなと思いました。
授業に来てくださった親子のみなさん
保護者ボランティアの皆さん、卒業生ボランティアの皆さん
WITHスタッフ2名
先生方、ありがとうございました。